戸建てとマンションはどちらが得?維持費から見る戸建てとマンションの比較
マイホームの購入を検討するとき、戸建てにするかマンションにするかで悩むケースは多いのではないでしょうか。
戸建てとマンションでは異なるメリットとデメリットがあるので、それぞれを比較した上で判断することが大切です。
そこで今回は、家を買うなら戸建てとマンションのどちらが得であるか、それぞれの維持費に着目しながら詳しく解説していきます。
Contents
戸建てとマンションで発生する維持費
まずは、戸建てとマンションの両方において発生する維持費について、解説していきます。
- 税金
- 修繕費用
- 光熱費
上記3種類の維持費があるので、内容を比較しながら詳しく見ていきましょう。
税金
戸建てやマンションに関わらず、マイホームを持つことで課税される税金があります。
具体的には、固定資産税や都市計画税があり、一般的にはマンションよりも戸建てのほうが税金の負担が軽くなるケースが多いです。
大きな理由としては、戸建てに比べマンションのほうが建物の寿命が長く、税額を決める際に用いる評価額が高くなることが挙げられます。
また、戸建ての場合、床面積の大きさから税金の軽減措置が受けられることも多く、よりお得になるケースがあることも押さえておきましょう。
修繕費用
マイホームを所有し維持するためには、建物の修繕費用が必要になります。
マンションの場合は、修繕を必要とする箇所があるかどうかに関わらず、所有している限り毎月定額の修繕積立金を支払うのが一般的です。
戸建ての場合は、マンションのように毎月定額で修繕費用を積み立てる決まりがないため、築年数が経ってからまとまった金額の修繕費用が必要になるケースが多くなっています。
光熱費
戸建て・マンションは、生活する上で光熱費が発生します。
光熱費としてかかる金額は、どちらかというとマンションのほうが安く済むケースが多いです。
マンションは戸建てに比べて断熱性が高い場合が多いため、冷暖房効率が上がることで光熱費が抑えられます。
しかし、昨今の円安の影響により、マンションの光熱費も上昇傾向にあることから、今後更に高くなっていく可能性が考えられるという点も把握しておきましょう。
戸建てにかかる維持費の項目と目安
戸建ての購入を考える場合、まずは購入時にかかる費用と維持費としてかかる費用を知る必要があります。
戸建てにかかる費用は、以下の表を参考に把握しておきましょう。
ただし、以下はあくまで目安であるため、それぞれの地域や生活状況に応じて金額は異なります。
【購入時にかかる費用の相場】
水道加入金 |
15万円(※1) |
火災保険料 |
12万円(※2) |
つなぎ融資 |
30万円 |
合計 |
57万円 |
※1:水道メーターの口径を20mmとした場合の目安(地域によって異なる)
※2:所在地:高知県、建物構造:H構造、築年数:新築、建物の保険金額:2,000万円、保険期間:5年契約、地震保険:なし(火災保険料シミュレーション)
【維持費としてかかる費用の相場】
外壁塗装 |
100万円 |
屋根塗装 |
50万円 |
軒先や軒裏の塗装 |
30万円 |
樋や床下の点検管理 |
30万円 |
クロス張り替え |
20万円 |
サッシやコーキング |
30万円 |
シロアリなど害虫対策 |
20万円 |
合計 |
280万円 |
※それぞれ約1〜2回行った場合の費用相場
マンションにかかる維持費の項目と目安
マンションの購入を考える場合も、購入時の費用と維持費としての費用を知っておかねばなりません。
以下の表を参考に、必要な費用の項目を確認しておきましょう。
なお、戸建て同様に以下はあくまで目安であるため、それぞれの地域や生活状況に応じて金額は異なります。
【購入時にかかる費用の相場】
火災保険料 |
5万円(※3) |
※3:所在地:高知県、 建物構造:M構造、 築年数:新築、 建物の保険金額:2,000万円、保険期間:5年契約、地震保険:なし(火災保険シミュレーション)
【維持費としてかかる費用の相場】
管理費・修繕積立金 |
毎月2万円(※4) |
駐車場代 |
毎月1~2万円 |
合計 |
毎月3〜4万円 |
※4:国土交通省『平成30年度マンション総合調査結果』のデータを基に算出
戸建てとマンションの維持費を比較
戸建てとマンションの維持費をそれぞれ比べて単純計算すると、マンションよりも戸建てのほうが得であるといえます。
戸建ての維持費は一気に支払うのに対して、マンションの維持費は毎月のように支払うのが一般的です。
そのため、マンションの場合は維持費の総額がいくらになるのかはもちろん、毎月の支払いがどれほどになるのかも把握する必要があります。
先述した表を基に、戸建てとマンションにかかる維持費の合計を以下の表にまとめました。維持費の合計は、仮に30年間居住した場合の金額を算出しています。
【戸建てとマンションにかかる維持費の比較表】
項目 |
維持費の合計 |
戸建て |
397万円(※5) |
マンション |
1,470万円(※6) |
※5:5年契約の保険料12万円を30年間支払う場合
※6:5年契約の保険料5万円、駐車場代2万円を30年間支払う場合
上記のとおり、戸建ての維持費は合計約397万円となります。駐車場代は原則かかりません。
一方、マンションの維持費は合計約750万円で、駐車場代を含めれば約720万円が追加で必要となります。
したがって、戸建てとマンションにおける維持費の差は以下のように計算できます。
1,470万円(750万円+720万円)‐397万円=約1,073万円 |
特に自家用車を持つ生活を望んでいる人は、マンションよりも一戸建ての方が圧倒的に得であるといえるでしょう。
また、戸建てに比べてマンションの方が物件価格に占める建物の比率が高いため、固定資産税なども高くなりがちです。
戸建てのメリット
戸建てのメリットは、以下の5つの項目が挙げられます。
- 自由に設計することができる
- 老後を見据えてバリアフリーを取り入れられる
- 騒音を気にせず生活できる
- 管理費や修繕積立金を支払わなくていい
- 断熱性能を大幅に上げられる
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
自由に設計することができる
戸建てを新築する場合、建物の間取りや内装などを自由に設計できるのが、大きなメリットの1つです。
戸建てはマンションと異なり建物全体が自分の所有になるので、より自由な設計を実現できます。
したがって、マイホームの設計にこだわりたい人にとっては嬉しいポイントです。
老後を見据えてバリアフリーを取り入れられる
老後を見据えてバリアフリーを取り入れられるという点も、戸建てならではのメリットです。
例えば、将来車いすを使用する場合を考えて、玄関の段差をなくしてスロープを取り入れたり、廊下に手すりを取り付けられるように設計したりすることができます。
騒音を気にせず生活できる
騒音を気にせず生活できるというメリットもあります。
戸建てはマンションとは違い1つの独立した建物なので、近隣住人との間で生活音が響きにくく、騒音を気にせず快適に過ごすことが可能です。
小さな子供がいる家庭にとっては、特に重視されるポイントといえるでしょう。
管理費や修繕積立金を支払わなくていい
戸建ては、マンションのような管理費や修繕積立金の支払いが不要という点も、大きなメリットです。
マンションの管理費や修繕積立金は、毎月2万円以上かかるケースが多く、決して小さな出費ではありません。
管理費や修繕積立金を支払う負担がなくなるのは、多くの家庭にとって喜ばれるポイントです。
断熱性能を大幅に上げられる
戸建ての場合、断熱性能を大幅に上げることが可能というメリットもあります。
戸建ては、建物の構造も自由に決められるので、断熱性能を高くすることを重視した家づくりが可能です。
さらに、戸建てでは太陽光の設置もできるので、断熱、気密、太陽光などのバランスによっては光熱費を実質0円にすることもできます。
また、今後の円安やエネルギー高騰により光熱費が2〜3倍になったとしても蓄電池を追加すれば0円にできるという点も頭に入れておきましょう。
戸建てのデメリット
戸建てのデメリットについては、以下の4つの項目を押さえておきましょう。
- 補修工事する必要がある
- 不便な立地になる可能性がある
- 防犯対策に注意が必要になる
- ローコスト住宅だとマンションより光熱費が高くなる可能性がある
それぞれ詳しく解説していきます。
補修工事する必要がある
戸建ては、建物そのものが自分の所有となるので、築年数が経過したら補修工事をする必要があります。
自ら建物の状態を確認し、必要に応じて補修工事を判断することが必要であるため、マンションに比べて手間がかかることを理解しておきましょう。
また、補修工事をする際はまとまった費用が必要となる点にも注意が必要です。
不便な立地になる可能性がある
戸建ては、マンションに比べると不便な立地になる可能性が高いことを理解しておきましょう。
駅前などの便利な立地は土地代も高く、実際に戸建てを建てる立地は駅から離れた場所になるケースが多いです。
立地の利便性を特に重視する人にとっては、1つのデメリットとして把握しておく必要があります。
防犯対策に注意が必要になる
戸建ては、マンションに比べるとセキュリティ面が強くないので、防犯対策に注意が必要です。
マンションのようにオートロックが付いていたり、管理人が常駐していたりといった設備がありません。
したがって、玄関に防犯カメラを設置するなどの防犯対策を考えるようにしましょう。
ローコスト住宅だとマンションより光熱費が高くなる可能性がある
ローコスト住宅の場合、マンションよりも光熱費が高くなる可能性があるので注意が必要です。
ローコスト住宅は高気密・高断熱住宅よりも住宅性能が劣るため、冷暖房費などのランニングコストがかかってしまうことが考えられます。
マンションはワンフロアで高低差が無く、上下左右の世帯が冷暖房を使用します。
そのらめ、マンションよりもローコスト住宅の光熱費が高くなる傾向があることを把握しておきましょう。
マンションのメリット
マンションのメリットは、以下の4つの項目が挙げられます。
- 良い立地で暮らせる
- オートロックなどセキュリティ性能が高い
- 設備管理の必要がない
- ワンフロアのため家事動線がコンパクトになる
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
良い立地で暮らせる
マンションは、良い立地で暮らせるという大きなメリットがあります。
マンションは駅前などの便利な立地に建っていることが多いので、電車を利用する頻度が高い人など立地の利便性を重視する場合は特に嬉しいポイントです。
オートロックなどセキュリティ性能が高い
マンションは、オートロックなどセキュリティ性能が高いというメリットもあります。
共働きで家を空ける時間が長い家庭や、小さな子供がいて安全面を重視したい家庭にとって、マンションのセキュリティ性能の高さは大きなメリットです。
設備管理の必要がない
設備管理の必要がないという点も、マンションならではのメリットです。
マンションの場合、毎月管理費を支払い建物の設備管理をしてもらえます。
したがって、すべてを自分で管理しなければならない戸建てに比べると、より快適に感じられることが考えられます。
ワンフロアのため家事動線がコンパクトになる
マンションは、家全体がワンフロアとなるのが一般的であるため、家事動線がコンパクトになります。
2階建て以上の戸建ての場合、家の中を階段で移動しなければならず、家事動線がやや不便に感じる場合があります。
ワンフロアで家事動線がスムーズになる点は、マンションならではのメリットです。
マンションのデメリット
マンションのデメリットとしては、以下の4点を押さえておきましょう。
- 狭さを感じる可能性がある
- 生活音に配慮する必要がある
- 円安の影響で光熱費が高くなる
- 断熱性能が大幅に低い
それぞれ詳しく解説していきます。
狭さを感じる可能性がある
マンションは戸建てに比べて、全体の面積が小さくなる場合が多く、狭さを感じる可能性があります。
購入当時は丁度良くても、子供の数が増えた際に狭さを感じるケースも多いので、注意しましょう。
生活音に配慮する必要がある
マンションは、上下左右の部屋との距離が近く、生活音に配慮する必要があります。
特に、小さな子供がいる家庭では、走り回る足音が響くことによる騒音トラブルがおきやすいので、注意しましょう。
円安の影響で光熱費が高くなる
円安の影響により光熱費が高くなる可能性がある点にも、注意が必要です。
昨今の円安は、マンションの光熱費にも大きな影響を与え、今後もさらに高くなることが考えられることを頭に入れておきましょう。
断熱性能が大幅に低い
マンションは、断熱性能が大幅に低くなる場合があることを把握しておきましょう。
マンションでは、コンクリートが壁体内に詰まっており、表面にしか断熱材を入れられません。
この場合、構造の内部に断熱材を入れられる戸建てに比べて断熱性能が大幅に低くなることが考えられるので、注意が必要です。
戸建てとマンションに関するよくある質問
ここでは、戸建てとマンションに関するよくある質問を3つ紹介します。
- 戸建てとマンションで税金はどちらの方が高い?
- 戸建てとマンションの住居比率で比較するとどっちが多い?
- 戸建てとマンションで光熱費はどちらの方が高くなる?
それぞれの回答とあわせて見ていきましょう。
戸建てとマンションで税金はどちらの方が高い?
戸建てとマンションの税金を比較すると、マンションのほうが高くなる傾向があります。
家を所有すると課税される固定資産税は、建物の寿命を考慮して決まる評価額をもとに算出されます。
したがって、寿命が比較的長いとされるマンションのほうが高くなることが考えられるでしょう。
戸建てとマンションの住居比率で比較するとどっちが多い?
総務省による平成30年の調査結果によると、住居比率は戸建てが約8割、マンションが約2割と、圧倒的に戸建ての割合が高くなっています。
子育てのしやすさなどを考慮すると、マンションよりも戸建てを選択するケースが多くなっていることが考えられるので、マイホームを選ぶ際の参考にしましょう。
戸建てとマンションで光熱費はどちらの方が高くなる?
一般的には、戸建てよりマンションの方の面積が小さく冷暖房効率がよいという点から、戸建ての方の光熱費が高くなると考えられます。
昨今の円安の影響を受けて、マンションの光熱費も上昇傾向にあります。
そのため、今後は太陽光と蓄電池を備えた高気密高断熱の戸建ての方が安く済む可能性があることも理解しておきましょう。
戸建てとマンションの違いを知って自分に合った住まいを決めよう
マイホームを検討するときは、戸建てとマンションの違いについてよく理解した上で選択しましょう。
それぞれのメリットやデメリットを考慮し、自分にあった住まいを決めることが大切です。
建匠では、お客様に寄り添ってマイホーム購入のアドバイスをいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。