注文住宅の諸費用はいくら?相場や内訳・安く抑えるポイントも解説
この記事では、注文住宅の諸費用について解説します。
注文住宅を建築する際には、建築費用や土地費用の他にさまざまな諸費用が必要です。
マイホームの予算計画をする際には、諸費用の内訳や目安相場を念頭に入れておく必要があります。
この記事では、注文住宅でかかる諸費用の相場や内訳を解説します。
費用を安く抑えるためのポイントも合わせてお伝えするので、マイホームの購入や建築を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
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Contents
注文住宅にかかる諸費用の平均は約470万円
注文住宅の諸費用の平均は、約470万円です。
注文住宅にかかる諸費用は、一般的に住宅・土地の全額の10%程度といわれています。
住宅金融支援機構の『フラット35利用者調査』から、土地付き注文住宅の購入金額(※)を基に各地域の諸費用を以下の通り推測できます。
※「手持ち金+融資額+その他資金」の合計金額
地域 |
購入額(小数点切り捨て) |
諸費用 |
全国 |
4,694万円 |
469万円 |
首都圏 |
5,406万円 |
540万円 |
近畿圏 |
4,893万円 |
489万円 |
東海圏 |
4,694万円 |
469万円 |
その他地域 |
4,150万円 |
415万円 |
※参照:2022年度フラット35利用者調査丨住宅金融支援機構
全国平均で見ると、注文住宅の諸費用は469.4万円だと考えられます。そのため、平均額は470万円程度を目安と捉えると無難です。
【注文住宅】建物の建築にかかる諸費用の内訳
ここでは、注文住宅の建築にかかる諸費用の内訳を解説します。各費用の目安額や割合は以下の通りです。
内訳項目 |
費用・割合目安 |
設計費 |
施工費の10%程度 |
建築確認申請費用 |
5~10万円程度 |
各種税金 |
30~50万円程度 |
司法書士に支払う報酬 |
5~10万円程度 |
地鎮祭・上棟式の費用 |
合計で20~40万円程度(地域差あり) |
上記の費用・割合目安を踏まえたうえで、下記5つの項目を1つずつ解説します。
- 設計料
- 建築確認申請費用
- 各種税金
- 司法書士に支払う報酬
- 地鎮祭・上棟式の費用
順番に見ていきましょう。
設計料
設計料は注文住宅を建てる際に建物を設計する建築士に支払う料金のことで、建築費用全体の5〜10%であるケースが一般的です。
住宅金融支援機構の調査によると、土地なしの注文住宅の購入額は3,700万円程度であるとわかるため、180〜370万円程度となるでしょう。
設計料には間取りの計画や建築デザイン、材料の選定など、住宅の建築に必要な細かい仕様を決定する作業が含まれます。
※参考:2022年度フラット35利用者調査丨住宅金融支援機構
建築確認申請費用
建築確認申請費用とは、建築する建物が法律や条例に違反していないかチェックするための費用です。
都道府県によって定められている費用は異なり、東京都と高知県ではそれぞれ以下のようになっています。
<東京都>
床面積 |
確認審査手数料 |
中間検査手数料 |
完了検査手数料 |
合計額 |
30㎡以上100㎡未満 |
9,400円 |
11,000円 |
11,000円 |
31,400円 |
100㎡以上200㎡未満 |
14,000円 |
15,000円 |
15,000円 |
44,000円 |
200㎡以上500㎡未満 |
19,000円 |
21,000円 |
21,000円 |
61,000円 |
<高知県>
床面積 |
確認審査手数料 |
中間検査手数料 |
完了検査手数料 |
合計額 |
30㎡以上100㎡未満 |
9,000円 |
11,000円 |
11,000円 |
31,000円 |
100㎡以上200㎡未満 |
14,000円 |
15,000円 |
15,000円 |
44,000円 |
200㎡以上500㎡未満 |
19,000円 |
20,000円 |
21,000円 |
60,000円 |
※参照:確認申請等手数料丨高知県
上記の表より、建築確認申請費用は3〜6万円程度になると予測できます。
しかし、これは床面積のみから算出した費用であり、エレベーターなどの特殊な設備を付ける場合はさらに高額になります。
建築確認申請は、設計事務所などに代行してもらうケースが一般的です。
その場合、代行費用と合わせて15〜30万円程度が相場だといわれています。
※参考2:確認申請等手数料丨高知県
各種税金
建物を建築する際には、印紙税や不動産取得税を支払う必要があります。
印紙税は契約金額によって以下のように異なるため、確認しておきましょう。
記載された契約金額 |
印紙税額 |
100~500万円以下 |
2,000円 |
500~1,000万円以下 |
1万円 |
1,000~5,000万円以下 |
2万円 |
5,000万~1億円以下 |
6万円 |
※参照:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで丨国税庁
また、不動産取得税は不動産の評価額を基に課税される税金です。
新築の場合、住宅購入額の60%程度が評価額だといわれているため、不動産取得税額は以下のように計算できるでしょう。
不動産取得税=(住宅購入額×60%-1,200万円)×税率(3%) |
新築住宅の場合、評価額から1,200万円が控除されます。
また、課される税率は本来なら4%ですが、現在は軽減税率として建物と土地には3%の税率が適用されています。
住宅金融支援機構の調査によると、建築物のみの注文住宅の購入金額は平均3,700万円程度であるため、上記の式に当てはめると不動産取得税は30万円程度となるでしょう。
ただし、家の形状や設備によって課税される税金は異なるため、合計で50万円程度支払う必要があると考えておくと安心です。
※参考1:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで丨国税庁
※参考2:不動産取得税丨総務省
※参考3:2022年度フラット35利用者調査丨住宅金融支援機構
司法書士に支払う報酬
住宅を購入した際や建築した際には、建物の登記変更が必要です。登記変更は一般的に、司法書士に依頼して実施してもらいます。
この報酬として通常5〜10万円程度を司法書士に支払いますが、地域や手続きの種類によって費用が異なるため、注意しましょう。
地鎮祭・上棟式の費用
地鎮祭は、工事の安全と成功を願って工事開始前に建物を建てる土地で行われる儀式です。
神主への謝礼や必要資材、宴会を開催する代わりに参加者へ配布する弁当代など、5〜10万円程度は必要となるでしょう。
上棟式は、家の骨格が完成して棟上げ(むねあげ)が終了した際に実施する儀式のことで、これまでの工事の無事を感謝して残りの工事の安全を願う場となります。
上棟式では、ご祝儀や必要資材にかかるお金を合わせて15〜30万円程度が必要です。
地鎮祭・上棟式を開催する場合、合わせて20〜40万円近くはかかることを念頭に置きましょう。
しかし、これらの儀式にかかる費用は地域によって異なるため、注意が必要です。
【注文住宅】土地購入にかかる諸費用の内訳
ここでは、注文住宅の土地購入に必要な諸費用について解説します。
主な諸費用とそれぞれの費用・割合相場は以下の通りです。
内訳項目 |
費用目安 |
仲介手数料 |
売買価格の5.5%程度(200万円以下の場合) |
各種税金 |
20~30万円程度 |
司法書士に支払う報酬 |
3~5万円程度 |
これらの項目について、1つずつ解説します。
- 仲介手数料
- 各種税金
- 司法書士に支払う報酬
上記3点を順に見ていきましょう。
仲介手数料
土地を購入する際は不動産会社を通じて取引するケースがほとんどです。
土地を入手したら、仲介してくれた不動産会社に報酬として仲介手数料を支払います。
仲介手数料には上限があり、土地の売買価格によって異なるため確認しておきましょう。
土地の売買価格 |
不動産取引における仲介手数料の上限額 |
200万円以下 |
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200~400万円以下 |
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400万円~ |
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住宅金融支援機構の調査によると、2022年度の土地付き注文住宅購入額と土地なし注文住宅購入額の差は1,000万円程度でした。
そのため、仮に注文住宅用に1,000万円程度の土地を購入したと仮定する場合、仲介手数料の上限は以下のように算出されます。
仲介手数料の上限=200万円×5.5%+(400万円ー200万円)×4.4%+(1,000万円ー400万円)×3.3%=39.6万円 |
仲介手数料を計算する際は、上記の式をぜひ参考にしてください。
各種税金
土地を購入した際には、いくつかの税金が課されます。建築物と同じように印紙税が課税されます。
土地にかかる印紙税の課税額は建築物と同じく、以下の通りです。
記載された契約金額 |
印紙税額 |
100~500万円以下 |
2,000円 |
500~1,000万円以下 |
1万円 |
1,000~5,000万円以下 |
2万円 |
5,000万~1億円以下 |
6万円 |
※参照:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで丨国税庁
また、土地の購入においても不動産取得税が必要です。土地の不動産評価額は公示価格の70%程度が目安とされており、その評価額に税率4%が課せられます。
ただし、住宅と同様に現在は3%の軽減税率が適用されています。
不動産取得税では、控除される額がケースによって異なる点がポイントです。下記のうち、より金額が大きいほうが控除額として適用されます。
- 45,000円
- (不動産評価額×1/2÷地積)×住宅の床面積の2倍×住宅の持ち分×3%
自分はどちらの控除額が大きくなるのかを計算してみましょう。計算が苦手という人は、ぜひ主税局の『不動産取得税計算ツール』を活用してください。
住宅用の土地においては、印紙税と不動産取得税と合わせて登録免許税がかかります。登録免許税は不動産評価額の2%であるため、予め確認しておきましょう。
※参考1:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで丨国税庁
※参考2;不動産取得税丨東京都主税局
※参考3:不動産取得税計算ツール丨東京都主税局
司法書士に支払う報酬
所有権移転登記などの手続きは、通常司法書士に依頼して実施します。土地の登記であれば、報酬として3〜5万円程度支払うケースが一般的です。
費用が余分にかかるイメージですが、大切な手続きはプロに任せるほうが安心です。
【注文住宅】住宅ローンにかかる諸費用の内訳
ここでは、住宅ローンにかかる諸費用の内訳を解説します。
- 印紙税
- 事務手数料
- 保証料
- 各種保険料
- 登記費用
下記5つの項目をそれぞれ見ていきましょう。
印紙税
印紙税は、住宅ローンを組む際にも必要となります。
以下の表を参考に、自分が組む住宅ローンに対して印紙税がいくら必要なのか確認しましょう。
記載された契約金額 |
印紙税額 |
100~500万円以下 |
2,000円 |
500~1,000万円以下 |
1万円 |
1,000~5,000万円以下 |
2万円 |
5,000万~1億円以下 |
6万円 |
※参照:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで丨国税庁
事務手数料
住宅ローンを組む際には、銀行や金融機関に対して手数料を支払う必要があります。
一般的に数万円程度といわれており、ローンの申込や審査、契約書の作成などに対して払うものだと考えておきましょう。
保証料
保証料は万が一、返済不能になった場合に備えて、金融機関の損失補償を実施する保証会社に支払う金額です。
借入額やローン条件によって異なるため、予めローンを組んだ金融機関などに確認しておきましょう。
保証料は一般的に、一括前払いで支払うか、ローン残高に応じて年間支払いをするかの2つの支払い方法があります。
各種保険料
住宅ローンを利用する際には、火災保険や地震保険、そして団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的です。
保険への加入は住宅の保護やローン利用者に万が一の事態があった際の補償に必要なため、多くのローン商品で必須とされています。
特に団信は、加入を義務付けている金融機関がほとんどであるため、注意してください。
登記費用
住宅ローンには、購入した土地や建物の登記費用が含まれる場合があります。
先述の通り、不動産に課される登録免許税は不動産評価額の2%です。
新築住宅の場合は購入額の60%程度、土地の場合は公示価格の70%程度が評価額とされているため、一度計算していくら必要になるのか把握しておきましょう。
【注文住宅】その他にかかる諸費用の内訳
注文住宅においては、その他にも諸費用が発生します。
- 引っ越し費用
- 家具・家電の購入費用
上記2つの費用についてそれぞれ解説します。
引っ越し費用
新しい住宅に移る際には、引っ越し費用が必要です。運搬する距離や荷物の量、付随するサービスの有無によって金額が異なります。
一般的に、4人家族の引っ越しであれば5〜15万円程度かかった人が多くいるようです。
引っ越し費用をなるべく抑えたいという人は、持ち込む荷物を減らしたり自分達で持っていけるものは持っていったりするなどの工夫をしましょう。
家具・家電の購入費用
新居に適した家具や家電の購入にも費用がかかります。すべて新しい家具や家電を購入する場合、購入するものによっては数十〜数百万円がかかるでしょう。
購入する家具・家電のブランドや品質、機能が本当に自分に必要なものなのかを考えてから購入することがおすすめです。
注文住宅の諸費用を安く抑えるポイント
ここでは、注文住宅の諸費用を安く抑えるポイントを解説します。
- ハウスメーカーが所有する土地を検討する
- 利用できる補助金制度を探す
- 本当に必要な費用か慎重に検討する
上記3つのポイントを順番に確認しましょう。
ハウスメーカーが所有する土地を検討する
ハウスメーカーが所有する土地を選ぶと、土地の仲介手数料を節約できます。
ハウスメーカーの中には、プロモーションのために土地と住宅を特別価格のパッケージとして売り出している場合があります。
仲介手数料を節約できると何十万円の差ができるため、事前に複数のハウスメーカーのオファーを比較してコストパフォーマンスの良い選択肢を見つけましょう。
利用できる補助金制度を探す
国や地方自治体では、エネルギー効率が高い住宅建築や若い世代の住宅取得を促進するために、さまざまな補助金・助成金を提供しています。中には、かなり大きな額の節約に繋がる制度もあります。
居住地の自治体HPをチェックしたり担当の工務店に相談したりして、利用可能な補助金は活用しましょう。
本当に必要な費用か慎重に検討する
注文住宅を計画する際には、取り入れる機能や設備に優先順位を付けることが大切です。
さまざまな設備や便利な機能を採用したいと思ってしまいますが、本当に必要かどうかを検討すれば大きな節約に繋がります。
家を建てた際に必要と判断した場合でも、いざ住み始めると「必要なかった」と感じるケースは多くあるため、慎重に検討することが大切です。
注文住宅の諸費用に関するよくある質問
ここでは、注文住宅の諸費用に関するよくある質問に回答します。
- 注文住宅の住宅ローンに諸費用は組み込める?
- 住宅ローンの諸費用が払えないときの対処法は?
上記2つの質問をそれぞれチェックしましょう。
注文住宅の住宅ローンに諸費用は組み込める?
住宅ローンに諸費用を組み込むことは可能ですが、すべての費用を組み込めるわけではありません。
例えば、フラット35では以下の諸費用をローンへ組み込めます。
- 設計料
- 土地購入の仲介手数料
- 印紙代
- 登記費用
など
金融機関やローン商品によって組み込める諸費用の内訳は異なるため、事前に確認しておきましょう。
※参考:借入対象となる諸費用とはどのようなものですか?丨フラット35
住宅ローンの諸費用が払えないときの対処法は?
住宅ローンの諸費用を支払うことが困難な場合、まずは金融機関に相談して支払い条件を見直したり支払い回数・期間を変更したりすることが必要です。
ただし、支払い回数を増加する場合や期間を延長する場合、その分の手数料も増加する点に注意してください。
また、国や自治体が提供している補助金制度を適用できるか検討することもおすすめです。自分の家に適用できる補助金に関しては、担当の工務店やハウスメーカーに相談しましょう。
注文住宅の諸費用は内訳を把握して早めに準備しよう
この記事では、注文住宅の諸費用について解説しました。
注文住宅を購入する際には、土地や建物の費用だけでなくさまざまな費用が必要となります。
マイホームの計画を立てるときは、これらの費用の内訳や相場を確認して全体的な予算を検討するようにしましょう。
また、諸費用をなるべく抑えたいという人には、国や自治体が提供している補助金の活用が有効です。
補助金についてよくわからないという人は、担当のハウスメーカーや工務店に利用できる補助金について問い合わせてみることがおすすめです。
高知県を中心に注文住宅を提供している『建匠』では、エネルギー性能が高い住宅を多く提供しており、それに活用できる補助金について豊富な知識を持っています。
住宅ローン全般の相談も受け付けているため、マイホームの購入を検討している人はぜひ一度、建匠へご相談ください。