蓄電池を導入するメリットとは?デメリットや太陽光発電の効果もシミュレーション
本記事では、蓄電池を導入するメリット・デメリットなどを解説します。
電気代の高騰が社会的な問題に発展している昨今、太陽光発電や蓄電池を使って節電したいと考える人は少なくありません。
今回のテーマである蓄電池は、正しく使用すれば環境に優しくしながら節約できますが、間違って使用してしまうと負担が増えてしまいます。
本記事では、蓄電池の注意点やシミュレーションも交えて詳しく解説するので、ぜひ最後までお付き合いください。
【この記事でわかること】
|
Contents
そもそも蓄電池とは?
蓄電池とは、電気エネルギーを化学エネルギーとして貯めておく装置で、電力の需要と供給を調整する役割を果たします。
なお、家庭用蓄電池は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用して、発電された電力を貯めることが可能です。
多くの人が蓄電池の導入を検討する理由を3つ紹介します。
- 地震などで停電しても、いつもと同じように家電を使いたいから
- 夜間の安い電気を貯めて、貯めた電気を昼間使用することで節約できるから
- 太陽光発電で取り込んだ電気を貯めておきたいから
近年、環境問題や省エネルギーへの関心が高まる中、家庭用蓄電池はエネルギー管理において重要な役割を担っており、今後も普及が期待されています。
蓄電池を導入するメリット
ここでは、蓄電池を導入するメリットを解説します。
- 電気代を節約できる可能性がある
- 災害時や停電時に電気を使用できる
- EV車(電気自動車)と連携できる
- 太陽光発電との相性が良い
1つずつ見ていきましょう。
電気代を節約できる可能性がある
蓄電池を導入することで、毎月の電気代を節約できます。
節約する手順は以下の通りです。
- 契約している電気供給プランを夜間(深夜)の安いプランに変更する
- 夜間の安い電気を蓄電池に貯める
- 通常、電気代の高い日中に、貯めた蓄電池の電気を使用する
四国地方の電力会社である四国電力の時間別の電気料金は、以下の通りです。
<時間帯別:電気料金>
昼間(7:00〜23:00) |
夜間(23:00〜7:00) |
|
90kWhまで |
22.39円/kWh |
14.49円/kWh |
91〜230kWhまで |
29.67円/kWh |
|
230kWh超過分 |
31.98円/kWh |
※参照:四国電力公式ホームページ
四国電力の料金設定の場合、夜間は昼間のほぼ半額に近いので興味のある人はぜひ検討してみましょう。
災害時や停電時に電気を使用できる
災害で停電したときでも、蓄電池に貯めた電気で通常と同じように電気が使えます。
家庭用蓄電池のサイズは5〜15kWhで、一般的に多く普及しているサイズは約6kWhです。
このサイズの蓄電池が最大まで充電されていれば、合計1kWhの家電製品をほぼ半日の間使用し続けられます。
ここでは、1kWhがどれくらいの電力であるかを、実際の家電製品を例に挙げて紹介していきます。
具体的には、以下の家電を半日間、使い続けることが可能です。
- スマホ充電器4台分(約30W)
- LED照明2台分(約50W)
- PC1台(60W)
- 冷蔵庫(150W)
- エアコン1台(600〜700W)
ほかにも、30型液晶TVの場合は130Wなど、自分が使用する家電の消費電力を調べてみてください。
停電時に半日使用できるだけでも、蓄電池の有効性はかなり高いといえるでしょう。
EV車(電気自動車)と連携できる
EV車と蓄電池を連携させて同時に充放電できます。
現在は、後述の太陽光発電システムも含めて蓄電量・放電量を最適に制御し、一部は売電もできる仕組みになっています。
ガソリン車をEV車に切り替えることにより、価格が高騰しているガソリンを使用する必要がなくなり、ランニングコストを大幅に削減できるでしょう。
家庭の電気代・ガソリン代を節約した上で売電までできるため、これから蓄電池を導入する場合はEV車も同時に検討してみてください。
太陽光発電との相性が良い
太陽光発電で余った電力(主に生活で使用したあとに残った電気)を一時的に貯めておいてから使用することで、電気代の大きな節約になります。
以前は余った電気を売電して収入にしていましたが、現在は売電価格が下がる一方で電気代が高騰しています。
そのため、売電するより電気を使用したほうがお得です。
また、エネルギー価格の高騰が長期に渡って進み、電気代のさらなる高騰が予測されるとなれば、太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリットはより大きくなるでしょう。
太陽光発電システムをすでに導入している人はもちろん、これから導入予定の人も、合わせて蓄電池との併用を検討してみましょう。
蓄電池を導入するデメリット
ここでは、反対に蓄電池を導入した場合に発生しがちなデメリットを解説します。
- 初期費用が発生する
- 劣化による寿命がある
- 使用できる量が限られている
- スペースの確保が必要になる
順に見ていきましょう。
初期費用が発生する
蓄電池における最も大きなデメリットの1つに、最初の購入費用が高いことが挙げられます。
一般的な家庭用サイズ(約6kWh)で150〜180万円程度の高額な価格設定になっており、この価格が導入の妨げになっていることは否めません。
電気代が月に1万円節約できたとしても、元金を回収するまでに12〜15年かかる計算になります。
そのため、やはりかなり大きな経済的負担となるでしょう。
劣化による寿命がある
家庭用蓄電池は使用するにつれて、徐々にバッテリーの劣化が進み容量が減少してしまいます。
過充電や過放電などの使い方によって誤差は生じますが、一般的に10〜15年経過すると最大容量が50〜70%まで減少します。
すなわち、6kWhの蓄電池であれば3〜4kWhまでしか電気を貯められず、その分節電効果や停電時の使用継続時間も減少してしまうでしょう。
使用できる量が限られている
蓄電池は貯められる量と使用できる量が限られており、無限に使えるわけではありません。
そのため、使用量を管理しないでいると、停電時にほとんど利用できなくなるおそれがある点に注意しましょう。
現在では、太陽光発電・蓄電池・EV車などが連携しており、コンピュータによって非常用の電気量やEV車に回す電気量などを最適に管理できるようになっています。
いずれにしても、蓄電池を上手に利用するためには、使用可能な電気量を日頃からしっかり管理することが必要になってきます。
スペースの確保が必要になる
家庭用蓄電池の多くは定置型であるため、屋外もしくは屋内に設置するためのスペースが必要になります。
一般的な家庭用蓄電池のサイズは、以下の通りです。
- 幅:約80cm
- 奥行:約40cm
- 高さ:約100cm
1㎡近くのスペースを確保しなければならないため、蓄電池の導入を検討されている人は事前に設置場所を検討しておく必要があるでしょう。
太陽光発電に蓄電池を導入する場合のシミュレーション
ここでは、太陽光発電システムを導入した場合、太陽光発電に蓄電池を導入した場合にそれぞれ発生する電気料金をシミュレーションしていきます。
なお、シミュレーションは京セラのツールを使用し、以下の条件で行います。
【条件】
|
上記の条件において、太陽光発電システムのみを設置した場合の節電効果は以下の通りです。
<太陽光発電システムのみの場合>
※出典:京セラ公式HP
太陽光発電システム設置前の年間電気使用料金は18万円でしたが、設置後は 11万3,316円です。
つまり、6万6,684円の節電効果があるといえます。
売電により2万7,714円の収入が上がったため、合計すると9万4,398円の節約となりました。
続いて、太陽光発電と蓄電池を設置した場合をシミュレーションします。
<太陽光発電システムと蓄電池を設置した場合>
※出典:京セラ公式HP
太陽光発電システムと蓄電池を設置する前の年間電気使用料金は18万円でしたが、設置後は7万157円です。
つまり、10万9,843円の節電効果があるといえます。
売電により477円の収入が上がったため、合計すると11万320円の節約となりました。
節約効果を表にまとめると、以下の通りです。
太陽光発電 |
太陽光発電+蓄電池 |
|
設置したことによる効果 |
6万6,684円 |
10万9,843円 |
売電による効果 |
2万7,714円 |
477円 |
トータル節約効果額 |
9万4,398円 |
11万320円 |
太陽光発電のみの場合と蓄電池も設置する場合を比較すると、蓄電池を設置したほうが1年間で約1万6,000円多く節約できるといえます。
蓄電池の導入をおすすめする人・しない人
ここでは、蓄電池の導入をおすすめする人としない人の特徴を解説します。
どちらに該当するか参考にしてください。
<蓄電池をおすすめする人>
- すでに太陽光発電システムを設置済の人
- 毎月の電気代が1万円以上と高額な人
- 地震などの災害に事前に備えておきたい人
上記3つのカテゴリーに分類されます。自身の状況と比較してみてください。
<蓄電池をおすすめしない人>
- 毎月の電気代がそれほど高くない人(単身の人に多い)
- 昼間、自宅の電気をほとんど使わない人(単身・共働きの人に多い)
- 共同住宅などで、設置場所を確保できない人
電気代の負担が小さい人やマンション住まいの人などは、太陽光パネルとの併用が難しいため、高額な蓄電池はおすすめできない場合があります。
蓄電池に関するよくある質問
ここでは、蓄電池に関するよくある質問を紹介します。
- 蓄電池は元が取れないって本当?
- 蓄電池を導入しても電気代が安くならない原因は?
- 結局のところ蓄電池はやめたほうが良い?
それぞれ回答していきます。
蓄電池は元が取れないって本当?
蓄電池は初期費用が150万円以上と高額なため、1〜2年では元が取れません。
実際には、初期費用を回収するまでに概ね15〜20年程度の年月が必要です。
一方で、15年程度の長期間が経過すると蓄電池のバッテリー容量は50〜70%程度に減少するものの、使用できなくなるわけではありません。
いずれにしても、初期費用を回収するには15〜20年程度かかることを認識しておきましょう。
蓄電池を導入しても電気代が安くならない原因は?
蓄電池を導入しても電気代が安くならない原因のほとんどは、電気料金の安い夜間プランに変更していないからです。
蓄電池を正しく使用すれば、電気代は安くなります。
蓄電池を利用して電気料金を下げるためには、夜間(23時〜7時)に料金が安くなる電気料金プランに変更して、夜間に電気を貯める作業が必要です。
プランを変更しないで蓄電池を導入しても、電気料金は安くなりません。
太陽光発電システムを設置していれば、取り込んだ電気を蓄電池に貯めて節電できますが、蓄電池のみの場合はプラン変更が必須です。
結局のところ蓄電池はやめたほうが良い?
蓄電池は、一概にやめたほうが良いとはいえません。前述したように、蓄電池を購入しただけで電気料金が安くなるわけではありません。
また、7時〜23時の時間帯を不在にすることが多い人にとっても、蓄電池を購入するメリットはそれほど多くはないでしょう。
しかし、それ以外の人で夜間の安い電力プランに変更可能な人にとっては、十分に検討する価値があります。
自分の家庭環境や生活スタイルを見直して、蓄電池の購入を検討してください。
蓄電池のメリットを把握して導入を検討しよう
蓄電池を利用して賢く節約するためには、夜間の安い料金プランに変更するなどの作業が必要です。
実際に導入する前に、利用している電力会社の料金プランに夜間安くなるプランがあるかをチェックしてください。
すでに太陽光発電システムを設置済みの人は、蓄電池の利点を大きく生かせるため、蓄電池の導入をおすすめします。
建匠は、今後の省エネ住宅、ZEH住宅の動向を踏まえて、ローコストで暮らしやすい家づくりを提案します。
太陽光発電システム・蓄電池だけでなくEV車まで含めたお悩みなどに関しても、ぜひ一度お問合せください。