地震に強い家の特徴とは?耐震・免震・制震構造についても解説
この記事では、地震に強い家の特徴を解説します。
地震が多い日本では、家を購入する際の基準として地震に強いかどうかを重視する人が多くいるでしょう。
地震への強さはその家でどれだけ長く生活できるかに大きく影響し、購入前にしっかり確認しておきたいポイントの1つです。
この記事では、地震に強い家を見極めるポイントや注意点を解説します。重要な要素となる耐震・免震・制震構造についてもそれぞれ詳しくお伝えするので、マイホームをこれから購入する人はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
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Contents
そもそも地震に強い家が必要な理由とは?
多くのハウスメーカーや工務店が地震への強さを売りにした住宅を多く展開していますが、それには理由があります。
- 建築基準法の耐震基準を満たす必要があるから
- 巨大地震の被害が多いから
上記2点の理由をそれぞれ確認しましょう。
建築基準法の耐震基準を満たす必要があるから
『建築基準法』では、国内の住宅が満たすべき耐震基準が厳しく設定されています。
住宅の高さや種類ごとに要件が細かく定められており、国内で建築される住宅はこれらの要件を満たす必要があります。建築基準法の目的は、以下の通りです。
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。 |
※引用:建築基準法丨e-Gov法令検索
つまり、建物の保護自体ではなく、安全な建物の建築を促して建物の損壊などに伴って国民の生命が脅かされることを防ぐことが目的です。国内で建築される住宅は住む人の安全を確保するために、建築基準法の要件を満たす必要があります。
巨大地震の被害が多いから
”地震大国”とも呼ばれる日本では、高い頻度で大規模な地震が発生しています。2024年には元旦に能登半島地震が発生し、石川・富山・新潟の3県で合わせて8,795棟が全壊しました。
【topic】 能登半島地震で全壊した住宅棟数が20日、石川、富山、新潟の3県で少なくとも計8795棟となり、2016年の熊本地震の8667棟を超えた。 |
※引用:能登半島地震の全壊住宅8795棟に 熊本地震を超える丨毎日新聞
また、このような大規模地震は今後も発生するリスクが高いと推測されています。専門家によると、今回地震が発生した能登半島周辺にはひずみがたまった断層があり、マグニチュード7に相当する地震が起きる可能性があるとされています。
【topic】 能登半島地震の震源域周辺に、あまり動いていない断層や、ひずみのたまった断層があり、今後もマグニチュード(M)7クラスの大きな地震や津波の発生が懸念されるとの解析を、東京大地震研究所の佐竹健治教授(地震学)や東北大の遠田晋次教授(地震地質学)が2日までにまとめた。 |
※引用:今後もM7、津波3m発生を懸念 能登震源域周辺、専門家が解析丨Yahoo!ニュース
能登半島周辺以外に居住している人も警戒が必要です。現在日本には、地震を起こすリスクがある『主要活断層帯』が全国で114箇所選定されています。
中にはマグニチュード8相当の地震を起こすと予測される活断層もあり、大規模地震への対策はより一層強化されています。
【topic】 (…) これら114断層帯のほとんどは、これまでに一通り調査と評価が行われましたが、評価の信頼度が低い断層帯については、「補完調査」として引き続き調査が行われています。 |
※引用:主要活断層帯丨地震本部
以上を踏まえて、日本で住宅を購入する際には地震に対する強さを考慮することが大切です。
地震に強い家の特徴
ここでは、地震に強い家に共通する特徴を解説します。
- 地盤が強固である
- 形がシンプルである
- 階層が低い
- 質量が小さい
上記4つの特徴を順番に見ていきましょう。
地盤が強固である
地盤とは、住宅の基礎部分を支える地面を指します。この地盤が強固であれば、地震が起きても揺れを吸収して建物の倒壊や損傷を防げます。
家を建築する前には地盤調査が実施され、地盤の強さが足りていない場合は一般的に改良が必要です。
必ず調査を実施して安全な強度の地盤を確保してから、住宅の建築を行いましょう。
形がシンプルである
一般的に形状がシンプルな住宅であるほうが地震に強いといわれ、推奨もされています。
正方形や長方形などのシンプルな形は地震の力を効率良く分散できるため、倒壊のリスクが低いでしょう。
逆に、複雑な形状や大きな突出部分を持つ住宅の場合、地震の力を集中的に受けやすく損傷のリスクが高くなるといわれています。
階層が低い
高い建物の場合、地震による揺れが上部に向かって増幅され、上の階になるほど揺れが大きくなる傾向があります。
地震の揺れに強い家を望む場合、階層が低い設計を採用することがおすすめです。
特に一戸建ての場合、平屋や2階建てなど階層が低い住宅にすれば、地震が発生した際も安定性が高く、倒壊リスクが低減されます。
質量が小さい
家全体の質量が小さければ、地震の揺れによって受ける影響も小さくなります。
例えば、コンクリート住宅に比べて軽量な木造建築の場合、地震のエネルギーによって受けるダメージを抑えられるでしょう。
しかし、住宅の材質を選ぶ際には、質量だけではなく建物の形状や構造の工夫も重要です。
工務店やハウスメーカーと総合的に判断しながら、希望する住宅に合った材質を選びましょう。
地震に強い家に重要な3つの構造
地震に強い家を実現させるには、耐震・免震・制震の3つの要素があります。3つの簡単な特徴はそれぞれ以下の表の通りです。
要素 |
特徴 |
耐震構造 |
建物自体を強化して揺れに耐えようとする |
免震構造 |
建物と地盤を切り離して揺れが直に建物に伝わることを防ぐ |
制震構造 |
制振装置で地震の揺れを吸収する |
各要素について、1つずつ詳しく見ていきましょう。
耐震構造
耐震構造とは、建物自体を頑丈で地震の揺れに耐えられる構造にする方法です。
壁や床、柱や梁など家の中心となる部分を補強し、建物全体が強い揺れに耐えられるように設計しています。
地震に強い家を作るために最も一般的な方法とされており、コストも比較的低く抑えられるため、住宅だけでなく学校やオフィスビルにも採用されています。
免震構造
免震構造とは、建物と基礎部分である地面の間に免震装置を設置し、地震の揺れが建物に伝わりにくいようにする構造のことです。
建物内での揺れを感じにくくなり、家具の転倒などの二次被害も防止できます。
免震構造は導入のコストが高いため、大型マンションや公共の建築物で見られる方法です。
制震構造
制震構造は、建物の揺れを吸収するために壁や構造体にダンパーや制振装置を組み込む方法です。
地震の際のエネルギーを吸収し、揺れを減少させて損傷を最小限に抑えます。
上階になるほど大きくなる揺れの増幅を減少できるため、高層のマンションやビルで採用されることが多く、一戸建てや低層マンションでもオプションとして導入される場合があります。
地震に強い家を見極めるポイント
ここでは、地震に強い家を見極めるためのポイントを解説します。
- 構造・工法を確認する
- 耐震等級を確認する
- 住宅の基礎を確認する
- 実大振動実験の実施有無を確認する
上記4つのポイントを順番に見ていきましょう。
構造・工法を確認する
地震に対する強さには、住宅の構造や工法が大きく影響します。
一般的に住宅の構造には木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類があり、それぞれに耐震性の特徴があります。
簡単な特徴を以下にまとめたので、確認しましょう。
構造の種類 |
特徴 |
木造 |
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鉄骨造 |
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鉄筋コンクリート造 |
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※参照:建物の構造と耐震性の関係は?丨一般社団法人日本耐震診断協会
それぞれの特徴を確認し、住宅の形状に合った構造であるか確認しましょう。
耐震等級を確認する
耐震等級とは、建物が地震にどれだけ耐えられるか(耐震性)を等級で示したものです。
等級が高いほど、強い地震に耐えられるとされており、建築基準法では耐震等級1を満たすことが求められています。
耐震等級1〜3の特徴は、主に以下の通りです。
耐震等級 |
特徴 |
耐震等級1 |
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耐震等級2 |
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耐震等級3 |
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耐震等級は高いほど安心といえるため、事前に確認しておくことが大切です。
住宅の基礎を確認する
家の基礎部分は地震が発生した際に直接揺れを受けます。
住宅に用いられる基礎は主に”ベタ基礎”と”布基礎”の2種類に分類され、それぞれの特徴は以下のようになっています。
基礎部分の種類 |
特徴 |
ベタ基礎 |
鉄筋が入った厚いコンクリートを住宅の床下全体に敷く方法 |
布基礎 |
鉄筋入りのコンクリートを住宅の主な柱や壁の下にのみ敷く方法 |
阪神淡路大震災以降は、より耐震性が高いベタ基礎が採用される場合がほとんどです。
住宅の強度に大きく影響するため、予め確認しておきましょう。
実大振動実験の実施有無を確認する
実大振動実験は、建物の耐震性をチェックするために行われる実験です。
実際に起きた地震と同じ条件の揺れを再現して建物の耐久性を調べます。
この実験を行っているハウスメーカーや工務店なら、その結果を基に耐震性の高い家を設計・建築しているため、信頼できるでしょう。
地震に強い家を建てる際の注意点
ここでは、地震に強い家を建てる際に間取りや設備、工事において注意したいポイントを解説します。
- 吹き抜け
- 窓の数や大きさ
- 増改築
- ビルトインガレージ
上記4つのポイントを順番に見ていきましょう。
吹き抜け
吹き抜けは、外の光を内部に取り入れて家に開放感を与える人気のデザインです。
ただし、吹き抜けを囲む壁の強度や家全体の重心の変動など、配慮しなければいけないポイントが多くあります。
そのため、適切な補強をしながら取り入れましょう。
窓の数や大きさ
窓は自然光や風を取り入れるために欠かせませんが、大きな窓がある住宅や窓が多くある住宅の場合、その分壁の強度が低下します。
そのため、地震が発生した際の揺れに対する抵抗力が弱まるでしょう。特に、大きな窓は耐震性の観点から揺れによる被害のリスクが高まります。
注文住宅の場合、窓の配置や大きさを慎重に検討するほか、それ以外の住宅でも必要に応じて補強することが大切です。
増改築
家を購入した後、家族構成やライフスタイルの変化に伴って増改築を検討する可能性が考えられます。
しかし、増改築では家全体のバランスを変えるため、耐震性が損なわれるおそれがあります。
増改築を実施する場合には元の構造を十分に理解し、耐震性を下げないよう慎重に計画することが重要です。
ビルトインガレージ
ビルトインガレージとは、車を収納するガレージが建物の中に組み込まれたデザインのことです。
おしゃれな仕上がりになることが多く、デザイン性・機能性ともに魅力的ですが、ガレージ部分は住宅部分より強度が低くなる傾向があり、家全体の耐震性に影響するおそれがあります。
そのため、ビルトインガレージを設計する際には、ガレージ部分の耐震補強も実施して住宅全体の安全性を保つ必要があります。
地震に強い家を建てるなら建匠
建匠では、高知県を中心に耐震性に優れた家づくりを実現してきました。耐震等級3を標準使用としており、全棟で高い耐震性を持つ住宅をご提案しています。
また、建匠では世界最高峰の水準にある制振ダンパー『evoltz』を高知県で唯一採用しています。
evoltzとは、株式会社evoltzが企画・開発・販売を行っている木造住宅用の油圧式制振装置です。大きな地震の後に何千回も来る余震に対して、evoltzは震度1から性能を発揮します。
さらにevoltzは、建物の耐震成分を長持ちさせ、生命と財産を守ります。共振が発生したときの揺れ幅を小さくできる点も特徴です。
耐震だけでは補えない性能を、制振装置としてカバーしてくれるevoltzを採用し、末永く住み続けられる点が建匠の家づくりの大きな特徴です。
また、各住宅で実大振動実験を実施しており、強度のバランスが偏っていると判断した場合には追加で補強しています。
そのため、建匠が提供する住宅は揺れに強く安心して生活できるでしょう。高知県で地震に強い家を実現したい人は、ぜひ一度建匠へご相談ください。
地震に強い家に関するよくある質問
ここでは、地震に強い家に関してよくある質問に回答します。
- 地震に強い家に適した素材って何?
- 平屋は地震に強い家といえる?
- 地震に弱い家の特徴は?
上記3つの質問を順番に見ていきましょう。
地震に強い家に適した素材って何?
一般的に、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は耐震性が高く強度に優れているとされていますが、重量が大きいため揺れやすいデメリットがあります。
木造の場合、軽量で柔軟性があるため揺れに対するダメージは比較的少ない一方で、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅より耐震性は低くなる傾向があります。
自分が建てる住宅の形状や、階数に合わせて素材を選びましょう。
平屋は地震に強い家といえる?
一般的に、高さがある建物ほど揺れやすく、特に上階ほど揺れが大きくなるとされています。
そのため、平屋は高層の建築物に比べて地震の際のリスクが低く、揺れに強いといえます。
ただし、住宅の地震への強さは地盤や建物の構造にも影響されるため、高さだけで判断できません。そのため、平屋を検討する場合でも総合的に判断することが大切です。
地震に弱い家の特徴は?
地震に弱い家の特徴として、上から見た際にL字型や凹凸が多い複雑な形状をしている家が挙げられます。角や凹凸が地震のエネルギーを受けやすく、ねじれや歪みが生じやすいためです。
ただし、耐震補強を行うことで、耐震性の強化が可能であるため、複雑な形状の住宅を好む人は工務店などと相談しながら補強を行いましょう。
地震に強い家を建てるなら特徴・構造を工夫しよう
この記事では、地震に強い家の特徴を解説しました。
日本では大規模な地震の発生が多く、どこに居住していても住宅が地震の被害を受ける可能性があります。そのため、この記事で解説したポイントや注意点を参考に、地震に強く安全に生活できる住宅を選びましょう。
また、地震に強い家を建てたい人は建匠がおすすめです。耐震等級3相当を標準仕様としており、実大振動実験も実施しているため、安心して生活できます。モデルハウスへの来場予約もできるので、ぜひこの機会にご相談ください。