住宅ローンが払えない場合の対処方法まとめ!やってはいけない注意点も
住宅ローンの滞納と聞いて、自分たちには関係のない話だと感じた方は多いでしょう。
しかしながら、返済プランの破綻は対岸の火事ではありません。
住宅金融支援機構が公表する『令和2年度リスク管理債権』を見ると、貸付条件緩和債権額を含めたリスク管理債権が、全体の貸付金残高に占める割合は3.48%と無視できない数値となっています。
そこで今回は、住宅ローンが払えない場合の対処方法について解説します。
万が一の話ではありますが、いざという時に対処方法を知っていれば、最悪のケースを回避できるかもしれません。
Contents
そもそも住宅ローンが払えなくなる主な原因とは?
住宅ローンが払えなくなる主な原因は以下の通りです。
資金計画を立てる際に、気を付けておけば防げたかもしれない原因もあれば、そうでない原因もあります。
これからマイホームの購入を検討する方は、それぞれの原因を把握して、リスク管理に努めて下さい。
- 転職や失業などによる収入の減少
- 出費・支出の増加
- 病気によって返済が難しくなった
- 返済が厳しい住宅ローンを組んでいた
- 定年退職後も支払いが残っている
- コロナ禍による生活の変化
順番に解説します。
転職や失業などによる収入の減少
一つ目の原因には、転職や失業などによる収入の減少が挙げられます。
借入開始時の収入を安定して得られることを見込んで返済プランを立てるため、収入が下がると返済の負担割合が増え、返済プランが破綻しかねません。
また、ボーナス併用払いを選択している方はより注意が必要です。
ボーナスは会社の業績次第であり、必ず支給されるものではないことを忘れてはいけません。
出費・支出の増加
出費・支出の増加も支払いが困難となる原因の一つです。
子供の教育費や親の介護費用などはある程度想定できますが、病気や怪我などの予期せぬ出費もあります。
収入をすぐに増やすことは難しいので、定期的に家計の見直しをして、無駄な出費がないかをチェックする癖をつけておきましょう。
出ていくお金は気にしなければ把握しにくいため、家計簿アプリなどの利用をおすすめします。
病気によって返済が難しくなった
病気により休職を余儀なくされ、返済が難しくなることも原因の一つです。
傷病手当を受け取ったとしても、収入の約1/3が減少します。
民間の保険会社の休職保険があるとはいえ、自分は大丈夫だろうと考えて、加入している方は少ないでしょう。
また、団体信用生命保険は高度障害状態以外にも、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病を特約でカバーできるので、借入時に加入を検討して下さい。
返済が厳しい住宅ローンを組んでいた
返済が厳しい住宅ローンを組んでしまい、払えなくなるケースは珍しくありません。
借入可能額=返済可能額ではありませんので、返済負担率20〜25%を目安として、家計に無理のない返済プランを立てることが重要です。
また、変動金利で上限に近い借入をしている場合、金利上昇により月々の支払いの負担が増える可能性がありますので、金利プランの選択は慎重に検討して下さい。
定年退職後も支払いが残っている
定年退職後に支払いが残っているケースも、払えなくなる原因の一つです。
今後さらに定年が引き上げられる可能性もありますが、定年を迎える前に完済できる借入期間を設定することが望ましいといえます。
定年後に継続雇用されるケースでは、基本的に年収が下がることに注意して下さい。
また、退職金を見込んだ返済プランを立てることはおすすめできません。
老後資金の蓄えも必要になりますので、安定して返済できるプランを目指しましょう。
コロナ禍による生活の変化
コロナ禍による生活の変化も、返済が滞る原因に挙げられます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、生活が一変した方も多いでしょう。
雇止めや賞与減額などのニュースは記憶に新しく、現在も影響が残っています。
コロナ禍のように、誰も予想できないことが今後も起こる可能性はゼロではありません。
住宅ローンが払えなくなることを他人事と思わずに、最悪のケースを想定して返済プランを立てることをおすすめします。
住宅ローンが払えない場合の対処方法8選
住宅ローンが払えない場合の対処方法をまとめています。
対応を後回しにして何もしないことは悪手でしかありません。
問題が起こった時は、早く動くことが解決の近道です。
- 家計の見直し
- 住宅ローンの返済条件を見直す
- 住宅ローンの借り換えを検討する
- 団体信用生命保険適用の有無を確認する
- 売却する(一般売却・任意売却)
- 個人再生(住宅ローン特例)を利用する
- リバースモーゲージに借り換える
- 新型コロナに関する休業支援金・給付金を受け取る
順番に解説します。
家計の見直し
一つ目の対処法は、家計の見直しをすることです。
急に収入を増やすことは難しくとも、無駄な出費をなくして、毎月の固定費を削減することはすぐにでも始められます。
携帯電話の通信費や車の維持費など、家計の収支を洗い出して、節約できるものがないかをチェックしてみましょう。
住宅ローンの返済条件を見直す
住宅ローンの返済条件を見直すことも対処方法の一つです。
月々の返済が負担に感じる時点で、金融機関に相談することで、返済期間の見直しや月々の返済額を減額してくれるなどの対応をしてくれるケースもあります。
金融機関の立場で考えても、返済が滞るよりは、条件を見直して返済を続けてもらう方が望ましいでしょう。
もちろん何でも対応してくれるわけではありませんが、返済が厳しいと感じたら、滞納する前に勇気をもって相談して下さい。
住宅ローンの借り換えを検討する
住宅ローンの借り換えを検討することも対処方法の一つです。
一般に借り換えの効果があるのは、金利差1%以上・残り期間10年以上・ローン残高1,000万円以上とされており、必ずしも借り換えが有効であるとは限りません。
低金利が続く現在では、金利差によるメリットよりも借り換えの手数料などの方が高くつくケースも多く、まずは現在の金融機関に返済条件の見直しを相談するべきです。
団体信用生命保険適用の有無を確認する
団体信用生命保険適用の有無を確認することも忘れてはいけません。
加入者が死亡または所定の高度障害状態になった場合、残りの住宅ローンは全額弁済されます。
万が一の際は、保険の適用条件を確認して下さい。
売却する(一般売却・任意売却)
返済が難しいと判断した時は、家を売却することも方法の一つです。
住宅ローンの残債は売却金額で一括返済することになります。
一般売却は最も高く売れる売却手法なので、返済が滞る前に売却することも検討するべきでしょう。
また、任意売却については、債権者の同意が必要になりますので、金融機関に相談しなければなりません。
個人再生(住宅ローン特例)を利用する
個人再生を利用することも対処方法の一つです。
個人再生は減額された借金を概ね3年かけて支払うことで、残りの借金の支払義務が無くなります。
住宅ローンは減額対象とならず住宅ローンの返済を続けることで、その後も住み続けられます。
これは住宅ローン特例によるもので、住宅を失うことなく借金を整理し経済的に再生できるようにするための制度です。
リバースモーゲージに借り換える
リバースモーゲージとは、家を担保にお金を借りる方法であり、毎月の返済は利息のみでよく、債務者が亡くなった時に、担保物件を売却して債務を完済する住宅ローンのことです。
また、リバースモーゲージはシニア向けの金融制度であり、年齢制限が設けられているため年齢によっては利用できない可能性があります。
新型コロナに関する休業支援金・給付金を受け取る
新型コロナウイルス感染症の影響で返済が滞る場合は、給付金や貸付制度を利用して下さい。
適用要件はありますが、急場をしのぎ生活を立て直す時間が稼げます。
加えて、家計を見直した上で、返済条件の見直しを相談するなど、できることはすべてやりましょう。
住宅ローンが払えない場合に絶対にやってはいけない注意点
住宅ローンが払えない場合に絶対にやってはいけない注意点をまとめています。
問題の先送りは事態を悪化させるだけなので、問題を放置してはいけません。
- 専門家に相談しない
- 金融機関などからの連絡・督促を無視する
- 競売にかけられるまで対処しない
- 消費者金融、カードローンなどの借り入れを返済に充てる
- 夜逃げ
順番に解説します。
専門家に相談しない
問題を一人で抱え込まず、周りに相談することが大切です。
自分にできることをした上で、金融機関や法律事務所などに相談してみましょう。
債務整理など法律の素人では分からないような解決方法が見つかるかもしれません。
金融機関などからの連絡・督促を無視する
金融機関などからの連絡や督促を無視することは厳禁です。
問題の先送りでしかなく、むしろこちらから連絡して問題について相談するようにして下さい。
競売にかけられるまで対処しない
競売にかけられるまでには、時間もやるべきこともたくさんあります。
滞納をしたとしても、専門家の意見を取り入れて、できることから始めることが重要であり、あきらめてはいけません。
消費者金融、カードローンなどの借り入れを返済に充てる
新たに借入をして、返済に充てることも厳禁です。問題の先送りであり、むやみやたらに借金を重ねると破産のリスクが高まります。
夜逃げ
滞納の状況が続いたとしても夜逃げをしてはいけません。
夜逃げをしても競売は実行されますし、借金が無くなることはありませんので、どうにもならない時は、自己破産も視野に入れて下さい。
問題を抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。
住宅ローンが払えない際のよくある質問
住宅ローンが払えない際のよくある質問をまとめています。
他の方の疑問点をチェックして、万が一の事態に備えて下さい。
- 住宅ローンが払えず精神障害や難病などの病気を患った場合どうなる?
- 住宅ローンが払えず自己破産した場合はどうなる?
- 住宅ローンが払えないとブラックリストに名前が載ることはある?
順番に解説します。
住宅ローンが払えず精神障害や難病などの病気を患った場合どうなる?
住宅ローンの支払が難しい場合は、売却も視野に入れる必要があります。
特約を付保したとしても団体信用生命保険でカバーされない病気は多いので、リスクに備えて、別途保険に加入しておくとよいでしょう。
住宅ローンが払えず自己破産した場合はどうなる?
住宅ローンが払えず自己破産が認められた場合、返済を求められることはなくなりますが、競売で住宅の売却が決定した後は退去しなければなりません。
居座り続けても、強制執行により追い出されてしまうので、転居先を見つける必要があります。
住宅ローンが払えないとブラックリストに名前が載ることはある?
延滞が2~3ヶ月続くと、信用情報機関に異動情報として登録されます。
所謂、ブラックリストに名前が載ると表現されるものです。
まとめ:住宅ローンが払えないと感じたら早めに手を打つことが大切
月々の返済が厳しいと感じたら、早めに手を打つことが大切であり、問題を先送りしても解決には繋がりません。
むしろ、状況を悪化させるだけなので、自分一人で解決ができないと感じたら早めに相談して下さい。
お金のことなので相談しにくいと感じるかもしれませんが、勇気をもって相談することが問題を早期解決に導きます。
建匠では、お客様の現在と将来を考慮した資金計画を提案しています。
住宅ローンの返済プランにお悩みの方は、お気軽にお問い合わせ下さいませ。