【2023年】建築費(建築資材)の高騰はいつまで続く?原因や予算を抑えるコツも
本記事では、建築費(建築資材)が高騰した原因や今後の動向、加えて建築費を抑える方法を詳しく解説します。
新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、2021年から国内の建築費(建築資材)の高騰が続いています。
2022年に入り、米国の大幅な利上げによる急激な円安も相まって、住宅価格の高騰にさらに拍車がかかりました。
2023年3月現在において、新型コロナウイルスは落ち着きを見せはじめているものの、今後の建築費の動向がわからず、マイホーム建築を悩んでいる方は少なくありません。
ここでは、2023年における建築費(建築資材)の高騰を中心に、予算を抑える方法を紹介するので、マイホームを検討している人はぜひ判断材料にしてください。
【この記事でわかること】
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Contents
そもそも2023年までに高騰した建築資材は?
まず、ここ5〜6年間で建築費がどれくらい高騰したかを見ていきましょう。
下記の表は、国土交通省令和4年度の報告をもとに、2015年を100として建築費がどれくらい高騰したかを表しています。
【住宅建築費物価指数】
(住宅建築費) |
木造 |
鉄骨造 |
鉄筋コンクリート造 |
1989年 |
85.1 |
86.3 |
83.7 |
2015年12月 |
100.0 |
100.0 |
100.0 |
2017年12月 |
102.7 |
102.7 |
103.2 |
2018年12月 |
106.4 |
106.5 |
108.1 |
2019年12月 |
109.0 |
109.0 |
110.7 |
2020年12月 |
107.3 |
107.3 |
108.8 |
2021年12月 |
118.1 |
115.2 |
115.7 |
2022年12月 |
123.7 |
123.7 |
124.3 |
※参考: 建設工事費デフレーター | 国土交通省
上記の表を見ると、コロナウイルスやウクライナ侵攻の影響が全くなかった2015年と比較して1.2倍強、バブル絶頂の平成元年(1989年)と比べても1.5倍近くになっている事がわかります。
次に、2023年までに高騰した資材をまとめました。ここでは、一般財団法人建設物価調査会の報告をもとに、2011年を100として各資材がどれくらい高騰したかを紹介します。
【建築資材物価指数:2016〜2023年及び1990年】
1990年1月 |
2011年1月 |
2016年1月 |
2023年1月 |
|
木材 |
116.4 |
100.0 |
100.1 |
140.3 |
鋼材 |
72.7 |
100.0 |
88.6 |
169.5 |
コンクリート |
99.5 |
100.0 |
114.9 |
151.2 |
アルミニウム等 |
82.6 |
100.0 |
111.5 |
155.9 |
セメント |
112.3 |
100.0 |
103.2 |
130.2 |
塩ビ管(石油製品) |
56.0 |
100.0 |
81.3 |
124.9 |
化粧合板 |
116.0 |
100.0 |
101.8 |
192.9 |
壁紙・床材等 |
79.6 |
100.0 |
127.3 |
169.0 |
※参照: 建築資材物価指数グラフ|一般財団法人建設物価調査会
2022年後半から2023年にかけてウッドショックは多少沈静化しましたが、それでも主要な建築資材である鋼材やコンクリートは1.5〜1.7倍の高騰を見せています。
主要建築資材である木材・鉄骨・コンクリートの3資材について、1990年からの物価推移をグラフで確認しておきましょう。
<木材>
※出典: 建築資材物価指数グラフ|一般財団法人建設物価調査会
木造住宅の主要な建築資材である木材や木製品の価格は、2021年を迎えると同時に急騰しているのがわかります。
新型コロナウイルスの脅威が世界的に蔓延していく過程に連動した動きを見せています。
<鋼材>
※出典: 建築資材物価指数グラフ|一般財団法人建設物価調査会
鋼材も、2022年末から2023年2月に至るまでに、66%増という急激な高騰を見せています。
木材の価格は比較的落ち着きつつありますが、鋼材は未だ価格高騰に歯止めがかかっていません。1990年、バブル期の倍以上になっていることも非常に印象的です。
<コンクリート>
※出典: 建築資材物価指数グラフ|一般財団法人建設物価調査会
コンクリートは、木材や鋼材ほどの急騰ではなく、2011年ころから断続的に上昇し、2022年に入って前年の20%程度増となっています。
現在は建築資材が世界的に供給不足で、そうした世界的な状況がさらに建設資材の上昇や原材料高の原因になっています。
建築費(建築資材)の高騰はいつまで続く?
結論から言うと、建築費(建築資材)の高騰はしばらく続くと想定されますが、具体的に「いつまで続くのか」は断定できません。過去30年を遡ってみても建築費は、ほぼ一貫して上昇トレンドで下がったケースはほとんど見られません。
また、今後建築費が下がらないとされる具体的な要因は以下の通りです。
- 木材の価格高騰・合板の不足は解消されていない
- ギニア政変の影響でボーキサイトが供給制限されアルミニウムの価格が高騰
- 2024年問題(働き方改革)による人手不足を解消するための人件費アップ
- ロシアに対する経済制裁終焉の不透明さによる原材料費の不足
建築資材や原材料費高騰の問題だけでなく、国内における政策(働き方改革)や国際情勢(ウクライナ問題や円安)も、建築が高騰する要因になっています。
このように、当面は下落に向かう要素がほぼ見当たらないため、建築費の高騰はこのまま続くと思われます。
建築費(建築資材)が高騰している原因
ここでは、建築費(建築資材)が高騰している5つの原因を解説します。
- 円安の影響
- ロシアのウクライナ侵攻の影響
- アイアンショックの影響
- ウッドショックの影響
- コンテナ料金の上昇による影響
1つずつ見ていきましょう。
円安の影響
2021年後半、欧米諸国が物価高騰を抑えるために金利を上昇させる反面、低金利政策の姿勢を崩さない日本は2022年に入って一気に円安が加速しました。
円安によって、輸入に頼る建築資材の仕入れ価格がアップし建築費高騰に拍車がかかりました。
特に、鉄鉱石などは100%輸入によって調達しているため、円安が建築高騰の大きな要因になったことは間違いありません。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響
2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻した結果、欧米諸国と日本は、ロシアの金融機関と取引しないといった経済制裁を下しました。
この経済制裁により、ロシアからの木材・石油・天然ガスの輸出がストップし、世界的規模で建築費高騰の原因となりました。
ロシアの木材輸出量は世界トップで全体の約15%、天然ガスもトップで約19%、石油も第3位で約10%占めています。
今後、経済制裁が長期化すると、木材やエネルギー価格が世界的に上昇することは間違いありません。
アイアンショックの影響
2021年に入って、新型コロナウイルスの影響を受け、鉄の輸入価格が一気に高騰したことを『アイアンショック』といいます。
鉄の価格が上昇した原因は、新型コロナウイルスによって在宅ワークが世界的に浸透し、アメリカ・中国において住宅需要が増大したことによります。
住宅建築に鉄は欠かせない資材であるため、原材料である鉄鉱石が世界的に不足し価格が高騰しました。
ウッドショックの影響
アイアンショック同様、新型コロナウイルスの流行により住宅需要が増え、その結果輸入木材の価格が高騰したことを『ウッドショック』といいます。
アメリカ・中国などの経済大国でテレワークによる住宅需要が爆発的に加速し、建築用木材の価格が一気に高騰しました。
また、ロシアのウクライナ侵攻によってロシアからの木材輸出がストップし、世界的に木材不足に陥った結果、木材価格はさらにアップしました。
木材は、住宅資材以外にも家具やテーブル、机などにも使用されるため総体的な建築コストアップの原因にもなっています。
コンテナ料金の上昇による影響
コロナショックに始まりアメリカ・中国で住宅需要が高まったことに起因して、資材を運搬するためのコンテナが不足を招き、その結果コンテナ料金も高騰しました。
こうした物流コストの上昇も、最終的には住宅価格の高騰に影響を及ぼしていることは間違いありません。
また、海外から資材を調達する際に、新型コロナウイルスの影響によって特定の港だけにコンテナが大量に滞留したことも、コンテナ運賃高騰の原因になりました。
建築費(建築資材)の予算を抑えるコツ
今後も建築費の高騰が見込まれる中、ここでは建築費を抑えるコツを6つ解説します。
- 間取りを見直す
- 建物の形状を見直す
- 設備や仕様の優先順位をつける
- 水回りを1ヶ所にまとめる
- コストダウンすべきではない場所も把握する
- 信頼できる工務店やハウスメーカーに依頼する
順番に解説していきます。
間取りを見直す
シンプルな間取りにして部屋数を少なくすると、余計な壁を作る必要がなくコストダウンになります。
客間が本当に必要か?子ども部屋が2部屋必要か(パーテーションで仕切れないか)など、本当に必要と思われる間取りを検討しましょう。
建物の形状を見直す
建物の形をなるべくシンプルにすることで、コストダウンが可能です。
凹凸のない外壁や雁行していない屋根にすることで使用する資材の量も減り、人件費も削減できます。
シンプルな形にすると、間取りもシンプルに作りやすいので特段の要望がなければ、建物はなるべくシンプルな形状にしましょう。
設備や仕様の優先順位をつける
設備や仕様は、優先順位をつけた上で予算に応じて必要な物から選んでいきましょう。
具体的には、以下のような手順で進めることをおすすめします。
- 欲しい設備や仕様をリストアップする
- リストアップした仕様の金額を建築業者から教えてもらう
- 必要な物・欲しい物のランク付けする
- 設備・仕様にかけられる費用を建築予算総額から割り出す
- 費用の過不足を確認し、予算超過の場合はランクの低いものからカットする
費用を割り出す際は、建築業者の担当者に協力してもらいましょう。予算を超過している場合は、バッサリとランクの低いものから削除する割り切りも必要です。
水回りを1ヶ所にまとめる
水回りの設備をなるべく1ヶ所に集中させると、配管費用が削減されコストダウンに繋がります。トイレと洗面所、キッチンなどが至近距離にあることで、配管の長さも削減されパイプスペースも1ヶ所で済みます。
2階にトイレや手洗いを設置する場合も、1階との位置関係を考えてなるべく直下にレイアウトするようにしてください。
原則、トイレは1階のみにした方がコストダウンになるので、2階のトイレが本当に必要かどうか検討してみてください。
コストダウンすべきではない箇所も把握する
コストダウンすべきではないところは、事前にしっかりと把握しておきましょう。
建物の構造に関わる部分や断熱、耐震性などに関する部分のコストダウンはおすすめできません。
必要な基礎補強工事をしなかったり、断熱性能や耐震等級を下げてしまったりすると、快適な暮らしができないばかりか、安全性までも損なうおそれがあります。
信頼できる工務店やハウスメーカーに依頼する
建築費のコストダウンを検討する際は、信頼できる工務店やハウスメーカーに相談することをおすすめします。
特に、建物の安全性や耐震性などに関わる部分については、信頼できる専門家の助言がなければ、正確に判断することが困難です。
高知県にお住まいの方で、どの業者に相談したら良いかわからない方は、建匠へお問い合わせください。地元での圧倒的な施工実績だけでなく、標準でZEHよりも高い断熱性や耐震等級ランク3をクリアしており、安心して相談できます。
マイホームを考える際に、何を優先してどこを削減できるのかわからない方も、ぜひ建匠にご相談ください。
建築費(建築資材)の高騰を受けて2023年は家づくりを進めるべき?
現在、マイホームの建築を検討しているのであれば、なるべく早く計画を進めることをおすすめします。可能であれば、2023年中に着手しましょう。
なぜなら、2024年になると働き方改革方針によって、ここ5年間猶予されていた時間外労働時間の上限規制が適用になるからです。
労働時間が規制されれば人件費は高騰し、最終的には住宅価格の高騰に繋がります。
また、2025年になるとベテラン層の大量退職、外国人労働者の減少によって、人手不足が深刻化しさらなる建築費アップにつながるでしょう。
こうした点を踏まえて、2023年中に家作りをスタートすることをおすすめします。
建築費(建築資材)の高騰を踏まえて予算を適切に抑えよう
ここまで解説してきたように、当面は建築費の高騰は継続されるでしょう。
むしろ、円安や低金利、今後発生する労働力不足などの問題を考えると、現在よりもさらに高騰する可能性があります。これからマイホームを計画する人は、こうした状況を踏まえた上で予算を抑える工夫が必要です。
採用したい設備や仕様に優先順位を付けて、予算と相談しながら無理のないマイホーム計画を進めていきましょう。
建匠では、耐震性や断熱性に優れたローコストで暮らしやすい家づくりを提案しています。家づくりにおいて、何を優先すべきか迷っている方もぜひ一度お問合せください。